食物繊維
食物繊維の特徴・種類・働き、上手なとり方、摂取量目安、不足・過剰摂取、多く含む食品・食材など、食物繊維の基礎知識。
食物繊維の特徴
食物繊維とは、人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総称で、炭水化物に含まれています。
糖質(炭水化物)、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素に続く、第六の栄養素ともいわれますが、食物繊維自体は栄養素に含まれていません。
しかし、整腸作用などさまざまな効用があり、健康維持に不可欠な成分のひとつです。
また、消化されないとされていますが、腸内細菌の一部が食物繊維を消化することがわかり、1gあたり0~2kcalのエネルギー源になると考えられています。
食物繊維は動物性食品にも含まれますが、植物性食品の方が圧倒的に多く含まれています。
食物繊維の種類
水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維に分類され、それぞれ働きは異なります。
食物繊維の中には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の特性を併せ持つレジスタントスターチという成分もあります。
食物繊維の働き
食物繊維の保水性・ゲル形成機能によって、便の硬さを調整したり、便の量を増やして腸を刺激し、ぜんどう運動を活発にするため、便秘の予防・改善に役立ちます。
食物繊維は腸内の有害物質を吸着させ、排出するという働きもあり、大腸がんの予防効果が期待されています。
満腹感を与えることから、エネルギーの過剰摂取を防ぎ、肥満予防になります。
コレステロールの吸収を抑え、血中脂質を下げる働きがあるため、糖尿病や動脈硬化の予防に効果があります。
食物繊維の上手なとり方
食物繊維は便秘の予防・改善によい成分ですが、不溶性食物繊維ばかりをとると、腸内の水分が吸収されて便が硬くなり、便秘を悪化させることがあります。
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維は、1:2の割合でとることが理想的です。
食物繊維の摂取量
1日の摂取基準は下表のとおりです。
食物繊維は摂取目標量を毎日とることがかなり難しいので、意識して摂取するようにしましょう。
年齢 | 目標量(g) | |
男性 | 女性 | |
1~5歳 | – | – |
6~7歳 | 11以上 | 10以上 |
8~9歳 | 12以上 | 12以上 |
10~11歳 | 13以上 | 13以上 |
12~14歳 | 17以上 | 16以上 |
15~17歳 | 19以上 | 17以上 |
18~69歳 | 20以上 | 18以上 |
70歳以上 | 19以上 | 17以上 |
食物繊維の不足
食物繊維が不足すると、便秘になります。便秘が続くと有害物質が腸に溜まり、大腸がんのリスクが高まります。
余分な糖分や脂質が吸収されやすくなるため、糖尿病や動脈硬化、心筋梗塞などが発症する率が高まります。
食物繊維の過剰摂取
食物繊維は摂取が難しい成分なので、通常の食事では過剰症は起こりません。
ただし、サプリメントなどでとり過ぎると、下痢になったり、栄養素の吸収が妨げられたりすることがあります。
下痢をすると水分と一緒に体内のミネラルが排出されるため、ミネラルの欠乏症を招きます。
食物繊維を多く含む食品・食材
いんげん豆、ごぼう、おから、ひじき、ブロッコリー、アボカド、洋梨、グリーンピース、キウイフルーツ、さつまいも、かぼちゃ、とうもろこし玄穀、納豆など。