ビタミンA(レチノール活性当量)
ビタミンAの特徴・働き、上手なとり方、摂取量目安、不足・過剰摂取、多く含む食品・食材など、ビタミンAの基礎知識。
ビタミンAの特徴
ビタミンAとは脂溶性ビタミンのひとつで、レチノール活性当量(μgRAE)として表されます。
レチノール活性当量は、レバーなどの動物性食品に含まれ、元々ビタミンAの形になっているレチノールの量と、植物性食品に含まれるカロテノイドが、体内でビタミンAとして作用する場合の換算量を合計したものです。
カロテノイドには、β-カロテンやα-カロテン、β-クリプトキサンチンなど約50種類あり、体内でビタミンAに変わることからプロビタミンAと呼ばれています。
摂取されているプロビタミンAの大半はβ-カロテンで、緑黄色野菜に多く含まれています。
ビタミンAの働き
ビタミンAは成長・発育の促進や、皮膚(肌)の健康維持、目・口・鼻などの粘膜を丈夫にし、細菌から体を守るといった働きをします。
また、ビタミンAは網膜で光を感じるのに必要なロドプシンという物質の成分で、「目のビタミン」とも呼ばれます。
ビタミンAの上手なとり方
動物性食品に含まれるレチノールは、とり過ぎると肝臓に蓄えられ過剰症を起こすことがありますが、植物性食品に含まれるβ-カロテンは、利用されない分が排出されるため、体内にたまる心配はありません。
なるべくβ-カロテンからとりたいところですが、レチノールの吸収率が70~90%と高いのに対し、β-カロテンの吸収率は10~30%程度しかなく、レチノール活性当量も低めです。
β-カロテンの吸収率は、油と一緒にとることで高くなります。
ビタミンAの摂取量
1日の摂取基準は下表のとおりです。
年齢 | 推奨量(μgRAE) | 耐容上限量(μgRAE) | |
男性 | 女性 | 男女 | |
1~2歳 | 400 | 350 | 600 |
3~5歳 | 500 | 400 | 700 |
6~7歳 | 450 | 400 | 900 |
8~9歳 | 500 | 500 | 1,200 |
10~11歳 | 600 | 600 | 1,500 |
12~14歳 | 800 | 700 | 2,100 |
15~17歳 | 900 | 650 | 2,600 |
18~29歳 | 850 | 650 | 2,700 |
30~49歳 | 900 | 700 | 2,700 |
50~69歳 | 850 | 700 | 2,700 |
70歳以上 | 800 | 650 | 2,700 |
妊婦後期(付加量) | +80 | - | |
授乳婦(付加量) | +450 | - |
推奨量にはプロビタミンAのカロテノイドから換算した量も含まれますが、耐容上限量には含まれません。
妊婦後期、授乳婦は耐容上限量の掲載がありませんが、該当年齢の耐容上限量を参考に適度な摂取が大切です。
ビタミンAの不足
ビタミンAが不足すると、暗所での視力が低下し、進行すると夜盲症(鳥目)になるリスクが高まります。
皮膚や呼吸器の粘膜が乾燥して免疫力が弱まり、皮膚炎や感染症にかかりやすくなります。
乳幼児では、失明や成長障害の可能性もあります。
ビタミンAの過剰摂取
β-カロテンからの摂取は必要量のみビタミンAに変換されるため、過剰症の心配はありません。
レチノールをとり過ぎると、頭痛や吐き気、腹痛、脱毛、肌荒れなどの過剰症が現れることがあります。
妊娠中にレチノールをとり過ぎると、胎児が奇形になることがあります。
ビタミンAを多く含む食品・食材
鶏レバー、豚レバー、あん肝、うなぎ、あなご、銀だら、モロヘイヤ、にんじん、西洋かぼちゃ、アシタバ、ブロッコリー、ほうれん草、青汁など。