鉄/鉄分
鉄の特徴・働き、上手なとり方、摂取量目安、不足・過剰摂取、多く含む食品・食材など、鉄の基礎知識。
鉄の特徴・働き
鉄(鉄分)とは、成人の体内に3~4g存在するミネラルのひとつです。
体内にある鉄の約60~70%は機能鉄として、赤血球のヘモグロビンの成分となり、全身に酸素を送る役割をもちます。血中のヘモグロビンの一部は、筋肉組織内のミオグロビンというタンパク質成分となり、酸素を筋肉に蓄えます。
残りの約30%は、貯蔵鉄として肝臓や骨髄などに貯蔵され、機能鉄が不足すると血中に運ばれ、利用されます。
鉄の上手なとり方
食品中に含まれる鉄は、動物性食品に含まれるヘム鉄と、植物性食品に含まれる非ヘム鉄に分類され、吸収率が高いのは動物性食品のヘム鉄です。非ヘム鉄はビタミンCや動物性タンパク質と一緒にとると吸収率が高まります。
コーヒーや紅茶のカフェインや、赤ワインや緑茶に含まれるタンニンは、鉄の吸収を阻害する作用があるので注意が必要です。
また、食物繊維を多量に摂取すると、鉄が排出されてしまいます。
大豆や玄米に含まれるフィチン酸も、鉄と結合して不溶性物質に変化し、体外へ排出してしまうため、鉄の吸収を妨げる成分と考えられています。
鉄の摂取量
1日の摂取基準は下表のとおりです。
年齢 | 推奨量(mg) | 耐容上限量(mg) | |
男性 | 女性 | 男/女 | |
1~2歳 | 4.5 | 4.5 | 25/20 |
3~5歳 | 5.5 | 5.0 | 25/25 |
6~7歳 | 6.5 | 6.5 | 30/30 |
8~9歳 | 8.5 | 8.0 | 35/35 |
10~11歳 | 10.0 | 10.0(14.0) | 35/35 |
12~14歳 | 11.5 | 10.0(14.0) | 50/50 |
15~17歳 | 9.5 | 7.0(10.5) | 50/40 |
15~17歳 | 9.5 | 7.0(10.5) | 50/40 |
18~29歳 | 7.0 | 6.0(10.5) | 50/40 |
30~49歳 | 7.5 | 6.5(10.5) | 55/40 |
50~69歳 | 7.5 | 6.5(10.5) | 50/40 |
70歳以上 | 7.0 | 6.0 | 50/40 |
妊婦初期(付加量) | +2.5 | - | |
妊婦中後期(付加量) | +15.0 | - | |
授乳婦(付加量) | +2.5 | - |
女性の()内は月経なし。
妊婦、授乳婦は耐容上限量の掲載がありませんが、該当年齢の耐容上限量を参考に適度な摂取が大切です。
鉄の不足
鉄が不足すると、鉄欠乏性貧血を起こし、頭痛、動悸、食欲不振、倦怠感などの症状が現れます。
成長期や月経のある女性、妊産婦、無理なダイエットをしている人などは、鉄が不足しやすいので、特に注意が必要です。
鉄の過剰摂取
鉄は吸収の悪い成分なので、通常の食事でとり過ぎになることはありませんが、サプリメントなどでとり過ぎると、肝臓などの臓器の組織細胞に鉄が沈着し、内臓に障害を起こすことがあります。