米屋がお米を選ぶ4つのポイントと1つの心づもり

「小池さんのお店で販売しているお米。なぜこれを売ろうと思ったのですか?」
本当によく訊かれます。
「そらもう、テレビや雑誌に出ている小池さんのこと、よほどこだわってお米を選んでいるに違いない…」。
聞き手はこのように期待します。しかし…小池の答えはこうです。

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「あ、そうですね、現状の商品と『キャラ』が被らなければOKです」と。
米屋は「お米のセレクトショップ」です。日本全国のおをすべて置くのではなく厳選して置いています。

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例えば…生産者の話を聞いて『この人は信用できる!』と判断します。味についても『これならどのお客様にもお勧め出来る!』となります。しかし価格が実は5㎏で1000,000円です…となったら…。
売れないでしょう。

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だから私は4つの切り口から既存のお米と比較します。
①地域のバランス(例:ウチは九州方面のお米が少ないので、九州がもっと欲しいなぁ)
②品種のバランス(例:ウチはコシヒカリが多いから、美味しくてもコシヒカリはもういいか)
③価格のバランス(例:ウチの売れ筋は5㎏3000円台~4000円台のお米が多いので5000円台は置けないかな)
④味のバランス(例:ウチは大粒のお米は「里山のつぶ」があるから「雪若丸」はもういいか)

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そしてもう一つ。大事にしているのは「持続可能な生産活動の実現」です。
例えば生産者が営業に来られて、産地も品種も弊社の既存商品と被っているけれど価格が安い!…場合でも既存の生産者が最優先です。今までのお付合いを「バッサリ」切ることはありません。

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弊社は飲食店との付き合いが多いので、飲食店からの「バッサリ」はよく経験します(笑)。もちろん安い方に流れるのは経済的合理性から止むをえないと思います。
しかし私たちが扱っている「米」は、経済合理性だけで判断すべきではないのです。
昔こような話を聞いたことがあります。マグロのセリである程度まで価格が下がったときは、買い手も売り手もそれ以下にならないよに「調整」するそうです。その目的は「マグロ漁師」を守るためです。

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屋は自分達でマグロは獲れません。米屋もお米を作れません。だからこそ米屋には生産者と持続可能な値段で取引する社会的使命があるのです。
ただ…お米は食べ物です。消費者が選ぶ動機は「美味しいかどうか」につきます。だからこそ僕ら供給側の人間は常に美味しいお米を消費者に提供し「お米の価値が上がっていく」ように導かなければならないのです。

ライター:小池 理雄