『お米ブーム』、感じてますか?!

「小池さん、お米っていつからこんなことになっているんですかね?昔はせいぜい『コシヒカリ』『ササニシキ』『あきたこまち』くらいだったじゃないですか?」

そう、今や「お米ブーム」と言っていいほど色々な品種が出ています。
今年から来年にかけては秋田県「サキホコレ」、福島県「福、笑い」、千葉県「粒すけ」、愛知県「愛ひとつぶ」、京都府「京式部」…。
品種だけではありません。炊飯器具、炊飯に使う道具や米びつまで、あらゆるジャンル?で新道具が出ています。

例えば炊飯器具。いまや10万円を超える電気炊飯器は当たり前です。そして各メーカーはこれでもかと言わんばかりに新機能を搭載し売り続けています。
新機能のなかでもお米ブームを象徴するのが「炊き分け機能」。これは品種ごとに圧力や加熱時間を調整し、品種の特徴を引き出しているのです。

直火炊飯ですと、土鍋や鉄鍋、ホーロー鍋などで「炊飯用の鍋」が出ています。例えば土鍋。昔は鍋料理用の流用でしたが、今では炊飯用があります。ホーロー鍋で有名な「ル・クルーゼ」でも炊飯用のホーロー鍋を出しています。
炊飯器具以外でも「お米を優しく洗うためのザル」「手を濡らさずにお米を洗う研ぎ棒」「ごはんを簡単にほぐせるしゃもじ」「冷蔵機能付きの米びつ」などなど…。

このような最新グッズを見るに、「なんだかんだ言っても日本人はお米好きなんだなぁ」と感じるのです。
しかし…その割にはお米の消費は落ちる一方です。前回の東京オリンピックのときは「一人で1年間120㎏」の消費量も、今やその半分以下…。
ただ考えてみれば、これだけ様々な価値観が認めらている現代において、お米だけが特別ではありません。今までの習慣に捉われずに新しい選択肢があってしかるべきです。

そう、お米は「数ある食べ物の一つ」としてこれからもあり続けると思います。
ただ…消費者の皆さんには知って頂きたいです。
お米があるから、その豊穣を祝うお祭りがあり、酒や鮨といった食文化が花開いたことを。
田んぼがあるから里山の風景があり、治水の役割を果たし、私たちを守ってくれることを。

普段は意識しない「日本人のアイデンティ」の根底には必ず「米」があります。
そのことをご理解いただいたうえで、色々な食べ物を楽しんでもらえれば…と願います。

さて…今回でいったん私の連載は終わります。今までありがとうございました!まだまだ大変な時期が続きますが、お米を食べて、引き続きご安全にお過ごし下さい。

ライター:小池 理雄