「旬」ってなんだろう?大切にする理由を考えてみよう
まいにちの生活で「旬」の食材を意識していますか?
秋の旬の食材といえば…お野菜では芋、栗、かぼちゃ。お魚なら秋刀魚が思いつきますね。「旬」の食べ物について、真剣に考えてみたことはないかもしれません。でも、旬の食材を食べることにはきちんと意味があるのです。旬の食材が特別な理由を考えてみましょう。
旬の食材は、お手頃価格
まずひとつ目に挙げられるのは、価格です。「旬」という言葉を辞書で引いてみると、“魚介類や蔬菜(そさい)・果物などの、もっとも味のよい出盛りの時期”(デジタル大辞泉)とあります。これは一年の間で最も多く市場に出回るということ。一年の間で最も安価に手に入れられるということです。旬を過ぎた食材は、収穫されたあと、次の収穫期が来るまで貯蔵されます。たとえば玉ねぎ。通常の玉ねぎを生で食べると辛いですが、新玉ねぎには辛みがありません。採れたての玉ねぎであれば辛くないのです。美味しい「旬」の食材を、安く手に入れられるのなら、それに越したことはありませんね。
旬の食材は、栄養がたくさん
次に挙げられるのは、栄養価。旬の食材は、他の季節に収穫された食材に比べ栄養価が高いと言われています。ほうれん草についての研究結果を例にとってみましょう。ほうれん草の旬は、11月~1月の冬の期間。旬の季節のほうれん草は、6~9月のほうれん草に比べて、ビタミンCの含有量が多くなります。夏の野菜は太陽をいっぱいに浴び、冬の野菜は寒さを乗り越えるために栄養を蓄えます。野菜にとってストレスがかからない状況で、栄養成長の最も盛んな時期が「旬」なのです。
旬の食材は、季節を運んでくれる
最後に、季節を感じること。これが一番大切な理由です。暑い夏には、熱を冷ます作用のある緑黄色野菜。寒い冬には、体を温める作用のある根菜類。旬の食材を食べると、四季の移り変わりを感じます。子供の頃、課外授業で野菜を育てたことはありませんか?小さな種から、芽が出て、少しずつ大きくなって。やっと大きく育った実を、みんなで分け合って。その季節、その時にしかない。それを共有し、感じられることが「旬」なのかもしれません。
現代では、野菜のハウス栽培や、魚の養殖技術が向上し、季節に関係なくあらゆる食材が手に入るようになりました。それでも私たちは、夏にはスイカが美味しそうに見えるし、秋になれば秋刀魚が食べたくなります。そこには必ず、私たちの身体や心にとって、その食べ物が必要な理由があるはずなのです。日々の生活の中にある「旬」を感じながら、その一瞬一瞬を、大切に過ごしたいですね。