かんずりとは?新潟県の豪雪地帯で作られる万能調味料
「かんずり」をご存じでしょうか?
かんずりとは、新潟県妙高地方で作られる唐辛子を発酵させて作る調味料です。「西の柚子胡椒、東のかんずり」と並べ称される、料理を引き立てる名わき役のような存在です。
かんずりの楽しみ方
- 焼いたお肉に添える
- 冷ややっこの薬味に
- 味噌汁の隠し味として
- ラーメンに入れて
- 刺身とわさびの代わりに
- 大根おろしと和えて、もみじおろしに
- そばやうどんのつけ汁に少し溶いて
- 鍋物のかくし味に
挙げればキリがないほど、楽しみ方は無限大です。手間のかからないちょっとした料理が、辛みと旨味がプラスされていつもとは違う食べ方を楽しめます。
熟成期間の違うものや、えのきのかんずり漬けといったご飯のお供になるものなど、さまざまな商品があります。
有限会社かんずり(https://kanzuri.com/)
かんずりができるまで
かんずりは3年の月日をかけてじっくり作られます。
かんずりに使う唐辛子を丁寧に収穫し、天然海水塩で塩漬けにします。その塩漬けにされた唐辛子を大寒の日(1月)から雪さらしします。
雪にさらすことで唐辛子の強いアクを雪が吸収し、塩抜き効果と辛みの軽減効果があります。
有限会社かんずりでは、この雪さらしを見学できます。よく晴れた日を選んで行われ、雪の白と唐辛子の赤のコントラストがが美しいと多くのひとが集まるそうです。しかし開催日は天気で左右されるうえ直前に決まるため、コアなファンは近くのホテルに泊まってチャンスを待つ人もいるのだとか。
さらした唐辛子を3~4日経って回収し、糀、柚子、食塩を加えます。そして元仕込みと呼ばれる長い熟成・発酵の期間に入ります。
熟成の間も、発酵を均一にするため樽を一本一本手で返したり、置く場所を変えたりと手をかけられるかんずり。最後に寒ざらしと呼ばれる、冬場に樽を外へ運び出し寒さにさらして唐辛子の味を引き締める工程を経て、商品として出荷されます。
豪雪地帯だからこそ作れる調味料
新潟県妙高市は、長野県に隣接し三方を山に囲まれた日本有数の豪雪地帯です。冬は寒さの厳しい土地だからこそ、雪に深く根付いた製法で作られる味わい深いかんずりという調味料が誕生したといえます。
かんずりは夏は食欲増進に、冬はからだを温める地域に欠かせない伝統食でしたが、いまや多くの有名料理店の「かくし味」として引き合いにされているそうです。
多くの調味料があふれるいま、日本の土地に根付き人の暮らしを支えてきたかんずりのような調味料を知ると、料理がより奥深いものに感じられるのではないでしょうか。