わたしたちの目に触れないお米の品種たち

お米の消費量ガタ落ちですよ!の続き……

田植えイベントの様子

の品種が大幅に増えている背景のもう一つが「値段」です。
実は一般消費者の目の前を通りすぎることのないお米が世の中にあります。それが「業務用米」と言われるものです。おもにレストランや弁当屋、給食で使われるお米のことです。
こういったレストラン等で使われるお米ですが、もちろんコシヒカリ、あきたこまち、ひとめぼれなどといったブランド米も使われています。
ただ…誤解を恐れずに言うと「米屋で販売しているような『腕に覚えのある生産者』のブランド米」ではなく「週末だけ農業に携わっている方々のお米を一挙に集め、大きなサイロで保管して出荷される、生産者の顔が見えないブランド米」であることが多いのです。

籾

お米の味は「品種」「栽培環境」「生産者」で決まります。ブランド米であってもそのうちの一要素が欠けていれば味に影響を及ぼします。そして値段もそれほど高くないレベルで流通しているのです。
しかし…それでも多くの飲食店にとって「ブランド米の値段はまだ高い!」のです。そしてこのように仰います。「もっと安いお米、ないの?」と。
そういった要望を受けて「質の悪いブランド米を集めて安くしました!でもブランド米だからいいでしょ?」というお米が出回りました。以前はそれでもOKでしたが、最近は飲食店が求める味のレベルが上がっておりNGであることが多くなりました。
そうなると「質の悪いブランド米よりもよっぽど美味しく、しかも安い!」というお米が求められてきました。それが業界内で「多収穫米」と呼ばれる品種です。その名の通り「単位面積当たりの収穫量が多い」お米です。そうなると当然安くなります。

庄内町の圃場

実は多収穫のお米は以前からあります。化学肥料を大量投入すればよく育ち、量が取れる品種です。しかしそうなると味が大きく損なわれるため「質の悪いブランド米よりもよっぽど美味しい」とはならないのです。
最近の多収穫米…「ちほみのり」「萌えみのり」「つきあかり」「あきだわら」「にじのきらめき」などなど。これらが「質の悪いブランド米なんかよりもよっぽど美味しくて、しかも安い」お米なのです。最近、レストランや弁当屋さんなどで使われ始めています。
こういった品種も実は現在進行形でたくさん開発されてきてます。皆さんが知っている以上に多くのお米が世に出回っているのです。事実、米屋ですらそのスピードについていけてないのです。
さて品種の話はここまでにして、次回は消費者の皆さんがもっとも気になる「お米の美味しさ」に迫りたいと思います。

ライター:小池 理雄