明日から美味しいご飯に変わる!「お米の購入」から「炊飯」まで
「美味しさジャンクション」は今回で最後です。今回は「お米の購入」から「炊飯」までです。
スーパーや米屋に積まれている米袋…。よく「米袋を見ただけで分かる美味しいお米の見分け方は?」と聞かれます。
ひとつには「精米年月日」。日付が古いよりは新しい方が当然好ましいです。ただ前回も触れましたが、「上手に精米されている」ことが前提。
次に米粒の「顔」。米粒に「真っ白なお米」「割れたお米」が見られるのはNGです。
皆さん、米粒の色は「白」ではないですよ!「半透明の乳白色」です。この色こそでんぷんが「ぎゅっ」と詰まっている証拠。真っ白なお米はでんぷんの組織が「スカスカ」です。
割れたお米と併せてこういった米粒を炊飯するとベチャつきの原因になります。
そして「保管」。お米は生鮮食品なので冷蔵保管がベスト。でもよくありがちなのは「買ってきた米袋のまま冷蔵庫に入れる」という行為。これはNGです。
実は米袋には空気穴が開いています。そこから入った冷蔵庫内の乾燥した空気に触れてお米が乾燥します。するとお米は割れやすくなるのです。
冷蔵庫保管で重要なのは「密閉した容器や袋に入れること」です。
そしていよいよ「炊飯」。論点は一つ。「しっかり水に漬ける」こと。夏は1時間、冬は2時間。ただ、これをやらない人が本当に多い…。
お米は生鮮食品であり「炊飯」は「調理」です。なので当然食材の性質に合わせた料理法があります。そこをすっ飛ばして「美味しくない」と語る人が、あまりに多すぎます。
水に漬ける利点は二つ。①水を伝わって炊飯時の熱が米の芯まで行き渡りふっくらと仕上がる。②でんぷんの糖化を促すアミラーゼという酵素がしっかり働く。
最後に美味しく炊飯するためのポイント。
①浸漬と炊飯に冷たい水を使いましょう。甘みが増します。
②しっかり浸漬したお米を電気炊飯で炊飯する場合は早炊きモードでやりましょう。
③浸漬と炊飯に炭酸水を使ってみる。炭酸水の気泡が粒と粒の間に入り込み、米粒全体に水が行き渡りまんべんなく炊き上がります。
④ほぐす前に蓋を半開きにして少し蒸気を逃がします。そうすることによりお米に水蒸気が戻りません。
いかがでしたでしょうか?「美味しいお米」に出会うのはカンタンでないことがお分かりいただけたかと思います。炊飯は調理です。皆さんが考える以上に、実は「手軽」なことではないのです。
1971年、原宿生まれ。1995年、明治大学卒業後、出版社で編集者として勤務。2002年、社会保険労務士の資格を取得し、人事制度コンサルティングファームに入社。2006年、小池精米店を継ぐ。
2013年、五ツ星お米マイスターの資格を取得。テレビやラジオ、新聞、雑誌、ネット等のメディア出演多数。共著「ごはん検定公式テキスト」(実業之日本社)。共著「お米の世界へようこそ!今日からあなたもごはん党
」(経法ビジネス出版)
【ネットショップ】 三代目小池精米店
【連載】米は『研ぐ』ではなく『洗う』です