後期高齢者(75歳以上)の食と健康に関する実態調査を発表

後期高齢者と粗食
ネスレ日本株式会社 ネスレ ヘルスサイエンス カンパニー(本社: 兵庫県神戸市、カンパニープレジデント: 中島 昭広、以下「ネスレ ヘルスサイエンス」)は、「後期高齢者(75歳以上)の食と健康に関する実態調査」を実施しました。75歳以上の男女(以下、高齢者)、75歳以上の同居家族を介護・支援する男女(以下、介護・支援者)、管理栄養士の合計1,200名の回答により、高齢者の食と健康の現状が推測されました。

当実態調査の結果、“後期高齢者”と言われる75歳以上の多くが、必要な食事量が摂れていないことがわかりました。多くの方が自ら健康のために食事量を減らしており、その背景には、「粗食が大切」という認識が浸透していることが読み取れます。しかし、高齢者の2人に1人が、昨今問題視されている “フレイル” (加齢による心身の衰弱)の疑いがあることがわかりました。

日本全国で“栄養ケアの大切さ”を広める活動を行う一般社団法人WAVES Japanの理事長を務める栄養の専門家、東口 髙志先生 (藤田医科大学医学部 外科・緩和医療学講座 主任教授)は、「現在、世界で最もホットな話題のひとつは、“高齢者の低栄養”です。高齢者の低栄養は、全身が衰弱して生活力が損なわれるフレイルの大きな原因といわれています。また、生活の質が低下し、要介護度が増し、疾病からの回復が遅延することによって、寿命の短縮を招いてしまいます。高齢者には、特にたんぱく質エネルギーを十分に摂取して楽しい老後をお過ごしいただきたいです。」と話しました。

1.“粗食志向”をはじめ、間違った食知識が高齢者自身やその周辺に散見
・約9割の高齢者、約7割の介護・支援者は今の食事量でも栄養が十分だと思っているが、栄養のプロである管理栄養士の約7割は「足りていると思わない」と回答。
・その背景には、根強い“粗食志向”。しかし、栄養のプロ・管理栄養士から見たら“不健康”
・「粗食が大切だと思う」と回答した高齢者は76%、介護・支援者は51%。一方、管理栄養士はたった20%

2.高齢者の2人に1人が「フレイル(加齢による心身の衰弱)」の疑いあり*。食とフレイルには密接な関係が
・フレイルの疑いがある人のうち約8割が「粗食が大切」と信じていた
・フレイルの疑いがある人のうち約7割が「食事量を減らしていた」
・食に対する悩みが、フレイルの疑いがある人は、フレイルの疑いがない人の1.5倍あった
*基本チェックリスト(厚生労働省)を使用

■ 高齢者は今の食事量でも栄養が十分だと思っている
「あなた(あるいはサポートしている高齢者)の現在の食事量、食事内容で、必要な栄養素が十分足りていると思いますか。」と質問したところ、高齢者は「思う」と「まあまあ思う」が合わせて90%、介護・支援者は「思う」と「まあまあ思う」が合わせて73%という結果に。今のままで十分に栄養が足りていると思っている人がほとんどであることがわかりました。しかし、管理栄養士は、「思わない」が71%、「思う」と「まあまあ思う」が合わせて29%であり、現状では栄養が足りていないと思っています。(図1)
高齢者当人やその周辺と、栄養のプロである管理栄養士との間には食事・栄養摂取の実態に関しての認識に差があることがわかりました。
図1

■ 背景には、根強い“粗食志向”。しかし、栄養のプロ・管理栄養士から見たら“不健康”
食と健康に対する考えを聞くため、「あなたは(もしくはあなたがサポートしている高齢者にとっては)、健康のためには、食事量やカロリーを摂りすぎない「粗食」が大切であると思いますか。」と質問をしたところ、「はい」と回答した高齢者は76%、介護・支援者は51%。管理栄養士はたった20%という結果となりました。この結果より、高齢者やその周辺では粗食が健康の秘訣だと考えられているが、管理栄養士からみると、逆に不健康であると考えられていることが読み取れます。(図2、図3、図4)
図2
図3
図4