コラーゲンに対する疑問に、資生堂のコラーゲン研究者が回答!重要なのは”コラーゲンを生み出す力”
フカヒレを食べても、肌のコラーゲンはほとんど増えない!?コラーゲン研究担当者が、女性たちの疑問を解明!
今回、資生堂グローバルイノベーションセンターでコラーゲンに関する研究・開発に携わっている、資生堂の内山太郎研究員に、女性たちが抱きがちな「コラーゲンに対する疑問や誤解」について話を聞きました。
Q:そもそもコラーゲンとは何なのでしょうか?
コラーゲンは、「タンパク質」の一種です。
タンパク質は、炭水化物・脂質とともに三大栄養素と呼ばれる、体にとって重要な成分。そして、人間の身体をつくっているタンパク質のうち、約30%がコラーゲンとされています。
平均的な日本人女性(体重53kg)の場合、体内のコラーゲン量は約3kg。500mlのペットボトルに換算すると、実に約6本分にものぼります。
また、コラーゲンというと「肌」のイメージが強いかと思いますが、それだけではなく、骨・目・歯茎・腱・関節・血管など、体内のさまざまな場所に存在しています。
Q:コラーゲンが減ると肌はどうなるのでしょうか?
コラーゲンが減少すると、肌のハリが低下してしまい、シワやたるみができやすくなってしまいます。
肌のコラーゲン量は、「加齢」に伴い年々減少してしまいます。これは、年をとることにより体内で新しくコラーゲンをつくる能力が減ってしまうためです。
女性の皮膚単位面積あたりのコラーゲン量を測定したデータをみると、20歳から徐々にコラーゲンの減少がはじまっていることがわかります。
また、「紫外線」は肌のコラーゲン分解を促進する要因の1つになっているため、日常的なケアが必要です。
Q:コラーゲンが多く含まれる食品をたべると、そのまま肌のコラーゲンになるのですか?
鶏皮や豚足、フカヒレなどには、確かにコラーゲンがたくさん含まれますが、それらがそのまま肌のコラーゲンになるわけではありません。
コラーゲンは食事から摂取すると、他のたんぱく質と同様に体内でアミノ酸などの低分子に分解されます。したがって、コラーゲンを食べても、コラーゲンがコラーゲンのまま様々な部位に運ばれてその部位のコラーゲンになるわけではありません。
このため、コラーゲンの摂取が肌のコラーゲンを作ることにとって、効率的であるとは言えないのです。
また、食べたコラーゲンは最終的に分解されてしまうことを考えると、「たくさん量を摂る」ことも、肌のコラーゲン量アップを目指すうえではあまり意味がないと考えられます。つまり、フカヒレなどをたくさん食べたからといって、肌のコラーゲン量はほとんど増えないのです。
コラーゲン入りの食品を食べて、翌日、なんとなく肌の調子がよくなったとすれば、コラーゲンペプチドの摂取によって「肌の水分量」が増加している可能性が考えられます。
ただ、肌の水分量が増えたからといって、肌のコラーゲン量が増えているとは言えません。短期的にみると水分量によって肌の調子はアップするかもしれませんが、加齢とともに減っていくコラーゲン量の効率的な対策にはなっていないのです。
一方で、コラーゲンはもともと体内に存在する成分であり、体の中で新しく生み出すことができます。そして、”コラーゲンを生み出す力”を高めるうえでは、コラーゲンを生み出す細胞を活性化させることが重要です。
細胞を活性化させるためには、適度な運動や質の良い睡眠はもちろん、バランスのよい食事も大切になってきます。
<研究者プロフィール>
資生堂 資生堂GIC(グローバルイノベーションセンター)アドバンストリサーチ ヘルスケア開発グループ
内山 太郎
1991年、資生堂入社。医薬品研究所に配属され、ホルモン剤、抗炎症薬などの開発研究に従事する。2004年、食品研究室へ異動。美容健康サプリメント、特定保健用食品開発を担当。現在は、アドバンストリサーチ ヘルスケア開発グループにおいて、マネージャーとして在籍中。