古米って実は高いんです

皆さん、「古米」ってご存知ですよね?
そう、文字通り「古いお米」です。
「新米」と比べると、何だか「臭い」「黒ずんでる」「美味しくなさそう」「ぱさぱさしてる」…。
こんなイメージだと思います。

しかし古米であっても、重宝される場面があります。
ただ、ここで申し上げる「古米」とは「一定の温度と湿度のもと保管されている質の良い古米」のことです。
「いや~なんだか見た目が怪しいけれど、食べられるかなぁ」と悩むほどの「古米化」が進んだお米のことではありません。

新米が出始める時期になると、米屋は古米の販売を意識的に早めます。そう、安売りするのです。
ただ、実は産地ではもっと早い時期…2月か3月頃から安売りが始まります。
田植え時に必要な資材(肥料や農薬など)を入れるため倉庫を整理するのですが、その際に場所ふさぎになっているお米を片付けるからです。

このように「古米」は新米が出る前に農家も米屋も売り尽くしセールを開始するため、「古米」は段々と市場から消えていくのです。
しかし…その古米をあえて欲しがる人たちがいます。以前もこの連載で触れましたがお寿司屋さんです。
炊飯後、時間が経過しても、シャリがべたつかず、ほどけやすい状態…。そういったお寿司屋さんが作りたい鮨は、新米よりも古米のほうが実現しやすいからです。

弊社は多くのお寿司屋さんとお付き合いがあります。そして言われなくとも古米を確保しておきます。
「新米が出たので明日から持ってきますね!」なんて話したら怒鳴られること必定です。
その辺りの感覚が、一般消費者とお寿司屋さんとでは異なるのです。

売りつくされる前に、古米は意識して残さないといけません。そして少なくとも半年分は確保するのですが、当然、店内には収まりきれません。通常は業者や生産者に預かってもらうのです。
そうなると…「古米」は安くありません。むしろ高くなります。
古米確保のために必要な場所の家賃、そして夏を無事に乗りきるために入れておく定温倉庫の電気代。そういった経費が加算されるからです。

それでも…お寿司屋さんは古米を必要とするのです。
「古米が実は付加価値がある」ことは米屋であれば知っているのですが農家は意外と知りません。例えば「寿司米専用の農家」が存在し、常時古米を抱えているのであれば、問い合わせ殺到なこと、間違いありません。
もし家の冷蔵庫の奥深くに古米が眠っていたら…捨てる前に一呼吸。食べ方を工夫すれば違う一面も見えるかもしれません。

ライター:小池 理雄