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「菌活」の市場トレンドと生活者の意識 ~ブームで拡大・活性のヨーグルト・発酵系飲料市場~

株式会社インテージは、全国の20歳から69歳の男女2261人を対象に、「菌活」に関する意識と行動について調査を実施しました。その結果を公開します。

[ポイント]
・市場規模、ヨーグルトは2500億円を突破、ドリンクヨーグルトは3倍に、ヒット商品で存在感増した乳酸飲料
・腸内環境、過半数が意識。最も高い60代女性では7割超。男性は「ダイエット/メタボ改善」、女性は「便秘改善」、女性20-30代は「美肌/肌質改善」も
・菌活トップ3は「善玉菌の働きを助ける食べ物」「善玉菌を食べ物やサプリで摂取」「おなかを冷やさない」。「おなかを冷やさない」は特に女性が実践
・「善玉菌の働きを助ける」人気食材は「葉物野菜」「きのこ類」「根菜類」「豆類」
・「善玉菌の食べ物やサプリ」の王道は「ヨーグルト」。「納豆」「味噌」「乳酸飲料/ヨーグルトドリンク」も上位。女性の過半数は「チーズ」
・悪玉菌対策トップ3は、「を食べる時は野菜を多く」「揚げ物/脂っこいものを控える」「糖類/糖質を控える」
「菌活」の市場トレンド

市場規模、ヨーグルトは2500億円を突破、ドリンクヨーグルトは3倍に、ヒット商品で存在感増した乳酸飲料
近年、腸内環境を整えることが健康や美容につながるとされ、「菌活」「腸活」といった腸内菌を意識した食や生活習慣を取り入れる人が増え、数多くの関連商品が発売されています。
ブームの実態を、まずは菌活アイテムの代表ともいえるヨーグルトと主な発酵系飲料の市場動向からみてみましょう。図表1は、ヨーグルト、ドリンクヨーグルト、乳酸菌飲料(殺菌しておらず要冷蔵…ヤクルト、ラブレなど)、乳酸飲料(殺菌してあり常温保存可能…カルピス、ビックルなど)においてバーコード登録されている商品数の推移です。

図表1
ヨーグルトと主な発酵系飲料の商品数推移
2011年には2,000種類に満たなかったこれらのカテゴリーの商品は、「菌活」という言葉が浸透してきた2015年には2,307種類と約1.2倍に増えました。直近の2019年は、2015年に比べヨーグルトと乳酸菌飲料は減りましたが、ドリンクヨーグルトはさらに1.3倍増え、乳酸飲料も増えており、全体としては2015年より約30種類増えています。
では実際、どれだけ売れているのか販売金額の推移をみてみましょう(図表2)。

図表2
ヨーグルトと主な発酵系飲料の市場規模推移
ヨーグルトは2011年は約2,400億円でしたが堅調に推移し、甘酒ブームに火がつくなどさらに発酵食品が注目された2016年には2,954億円に達し、以降も2,500億円を上回る市場規模をキープしています。
目を引くのがドリンクヨーグルトの勢い。「菌活」が注目され始めた2012年から伸び続け、2016年には1300億円を超え、2011年に比べ市場規模は3倍近くに拡大。以降も同水準で推移しています。菌活ブームの中で、ヨーグルト以上に手軽に乳酸菌がとれるアイテムとして食習慣の中に定着している人たちも多いのかもしれません。
また、乳酸飲料は2014年まで乳酸菌飲料を下回っていましたが、2015年に発売された南アルプスの天然水&ヨーグリーナの爆発的な人気で市場規模が拡大し一気に乳酸菌飲料との差を縮め、2018年には600億円を超え互角の勝負となっています。

腸内環境、過半数が意識。最も高い60代女性では7割超。男性は「ダイエット/メタボ改善」、女性は「便秘改善」、女性20-30代は「美肌/肌質改善」も
ここからは、菌活ブームの中で生活者がどの程度腸内環境を意識したり、実際に対策しているかをアンケート結果からみていきましょう。

図表3
日頃腸内環境を意識していますか?
まず、日ごろどの程度腸内環境を意識しているのかを聞いたところ、「とても意識している」という人は1割未満ですが、「やや意識している」人と合わせると、52%と過半数の人が腸内環境を日ごろ意識しているという結果でした(図表3)。
性・年代別に見ると、総じて男性より女性の方が意識している人の割合が大きい傾向があり、中でも、60代女性は「とても意識している」人が2割近く、「やや意識している」人と合わせると7割を超えています。
2人に1人以上が意識している腸内環境、どういった理由で気にかけているのでしょうか。選択肢から回答してもらった結果が図表4です。

図表4
腸内環境を意識している理由は?
全体では、「便秘の改善」「ダイエット/メタボの改善」がいずれも5割弱と2大理由となっています。次いで、「風邪/インフルエンザ予防」「美肌/肌質改善」がそれぞれ約3割、「便秘以外のお腹の症状の改善」「アンチエイジング」がそれぞれで約2割の回答がありました。また、「花粉症の改善」(14.7%)や「それ以外のアレルギー改善」(6.3%)よりも、「ストレス対策/抗うつ」(17.4%)を理由として選択した人が多い結果でした。
男女別にみてみると違いがあり、男性では「ダイエット/メタボの改善」が理由のトップ、これに「風邪/インフルエンザ予防」「便秘の改善」が続きます。一方女性では、「ダイエット/メタボの改善」は5割弱と男性とほぼ同じ割合の人が理由に挙げているもののそれ以上に、「便秘の改善」が6割超でトップ、2番目は「美肌/肌質改善」が5割の回答を集めました。この2つは女性が特に気にしている健康・美容テーマであることがわかります。
さらに、女性に絞ると、年代による傾向の違いがみえてきました。女性の上位4項目について年代別データをヒートマップ表示したものが図表5です。

図表5
腸内環境を意識している理由 女性の上位項目
「便秘の改善」は各年代で主な理由になっていますが、50-60代より20-40代での回答率が高く、また「美肌/肌質改善」「ダイエット/メタボの改善」は20-30代では他の年代より高いことがみてとれます。特に30代は上位3項目の回答率が他の年代より高いのが特徴的です。「便秘」を意識している人が7割超と多く、これを改善することが「美肌/肌質」「ダイエット/メタボ」の改善にもつながると考えている人が少なくないのかもしれません。