乳酸菌発酵果汁飲料が花粉症の症状を軽減

今回の研究に関するヤクルト本社中央研究所の考察

今回の研究から、乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取が花粉飛散期におけるスギ花粉症症状を軽減し、本効果にはTregの変化が関与することが示唆されました。ヤクルト本社中央研究所 食品研究所の水澤主任研究員が解説します。

■食品にできる花粉症対策を研究
花粉症の発症の原因を根本から治すのは難しく、薬などで症状を改善する対症療法が一般的です。日本人の2人に1人は何らかのアレルギーに悩み、年々増加していることから、抗アレルギー効果のある食品へのニーズは一層高くなっています。
ヤクルト本社中央研究所では、健康やQOL向上に寄与する新たな機能を持つ食品を開発研究しており、花粉症対策に有効な乳酸菌を活用した食品の研究に取り組んでいます。

■数多くの乳酸菌の中から「LP 0132」を選抜
花粉症に有効な乳酸菌は、ヤクルト本社中央研究所が保有する数多くの菌の中から選抜されました。
インターロイキン10(IL-10)は過剰な免疫反応を抑制する働きを持つ物質で、マクロファージなどの免疫細胞が分泌します。
このIL-10の誘導能が高い(増やすことができる)乳酸菌として選ばれたのが「LP 0132」です。
数多くの乳酸菌の中から「LP 0132」を選抜「LP 0132」によってIL-10を増やすことで、過剰な免疫反応が抑制され、免疫バランスが調節されて、アレルギー反応が抑えられるのではと仮説を立て、飲用試験を行いました。
その結果、P2〜3でご紹介したとおり、「LP 0132」で発酵させた果汁飲料の継続摂取がスギ花粉症症状を軽減すること、花粉飛散に伴うTregの減少を抑制することが確認されました。
LP 0132

■Tregとアレルギーの関連をヒトで証明
今回、花粉飛散期にプラセボ群でTregが減少すること、この減少が「LP 0132」を摂取することで抑制されることを突き止めました。
これらのことから、花粉飛散による症状悪化にはTregの減少が関与している可能性があり、「LP 0132」を摂取することにより免疫系が刺激され、Tregの減少が抑制されたと考察されます。

■今後の展望 花粉症だけでなくアレルギー全般への効果を期待
乳酸菌発酵果汁飲料は、乳成分を含んでいないため、乳が苦手な方にも飲用していただけます。
今回の研究により、アレルギー発症の根本である免疫バランスを調節する作用を持つ可能性が示されたことから、花粉症だけでなくアレルギー全般への効果も期待され、今後さらなる検証を進めたいと考えています。

株式会社ヤクルト本社
中央研究所
食品研究所 主任研究員 水澤直美
水澤直美