米屋さんとの『立ち話』が美味しいお米に出会う秘訣
米屋の店頭でよく言われる言葉。「美味しいお米、ください」。…実は米屋はこの答えにいつも困っています。
心の中では「すべて美味しいですよ!だって僕が厳選してますから!」と叫んでいるのですが、しかしこれでは独りよがり。もっとお客様に寄りそう必要があります。
ただ…お客様がこのような質問をすることが、お米販売の難しさを物語っています。
パン屋さんではこのような質問は出ませんよね?(たぶん)。それはパンは情報が多いからです。香りや見た目、中に入っている具材など…。
ところがお米はそうはいきません。ぜんぶ「白」ですから。多少白さの濃淡や米粒の形状の違いが分かっても、そこから「美味しさ」は想像できません。
そう、お米は圧倒的に「情報不足」なのです。だから質問するのです。
「ちょっと、これじゃ分からないから教えてくれる?」と。
お米を選ぶときに「どこ」に着目して買うかは人によって様々。しかし「情報量の少なさ」はその「どこ」すら分からない状態なのです。
まずは「美味しい」に着目してお米を選ぶとしましょう。ここでの問題は「美味しい」が人によって様々…ということ。お客様が考える「美味しい」とは何を指すのか?粘り?甘味?硬さ?喉ごし?…。
まずお客様がどういったお米が好きなのかを理解しなければ「美味しいお米」を勧める事は出来ません。例えば…
米「普段どんなお米を食べていますか?」
客「そうねぇ、あまり考えていないけれどあきたこまち辺りが多いかも」
米「あきたこまち!あのパリッとした食感としっとりとした旨み…美味しいですよね!今回もああいった味をお求めで?」
客「いえ、せっかく小池さんのところに来たのだからもっと違う品種がいいわ」
米「ありがとうございます。となると…あきたこまちと違ってもっちりして粘りが強く、粒の表面からして鮮烈に甘い…そういうお米は?」
客「いいわねぇ。何だか小池さんの話を聞いてるとお腹が空いてくるわ(笑)」
米「(笑)ありがとうございます。では茨城県の特別栽培米ミルキークィーンはいかがでしょうか?今ままでとは違ったお米の世界に出会えますよ」
客「それにしましょう!楽しみだわ」
…多少、妄想を含んでますが、このようにしてようやくお客様が考える「美味しい」に出会えるのです。
次回はこの「美味しさ」を「見える化」するお話しです。
ライター:小池 理雄