大人も迷う食育の基礎 ごはんの位置は左?右?「渡し箸」「かき箸」をしている人は約4割
株式会社インテージリサーチは、自主企画調査「食育・孤食に関する意識調査」を実施しました。全国の16~79歳の男女1万803人を対象にしたインターネット調査で、平日・休日の食事の状況やごはん茶碗と汁椀の位置、箸使いなどを尋ねたものです。
【調査結果のポイント】
1.1日のすべての食事を1人で取る「孤食」の割合は、平日で15.6%
2.ごはん茶碗と汁椀を正しく置いている人は53.1%。ほぼ半数が、正しく食器を置いて食べていないことがわかりました
3.箸使いについて、「渡し箸」「かき箸」をしている人が約4割いる一方、ほとんどの人が「拾い箸」はしていないことがわかりました
考察
家族らと一緒に食事を取る「共食」は、コミュニケーションのための重要な機会となります。農林水産省が策定する「第3次食育推進基本計画」では、目標の一つとして、「朝食または夕食を家族と一緒に食べる『共食』の回数」が挙げられており、目標値(令和2年度)週11回以上に対し、現状値(平成30年度)は週10回と、ほぼ目標値に近くなっています。また、「食育白書」(平成29年度)によると、「家族と一緒に食事をすることは重要であると思う」と回答した人の割合(※1)は、すべての年代で約9割に達しています。
しかし20~50歳代では、朝食や夕食を家族らとともに取る頻度が低い傾向が見られます。先述の「食育白書」では、1日のすべての食事を1人で取る頻度について、「ほとんど毎日」と回答した人の割合は11.0%。「週に4~5日」の4.3%と合わせると、週の半分以上、1日のすべての食事を1人で取る「孤食」の人は約15%に上り、平成23年度と比べて増加しています。
家族らが食卓を囲んで、共に食事を取りながらコミュニケーションを図ることは食育の原点であり、共食を通じて、食の楽しさを実感するだけではなく、食や生活に関する基礎を習得する機会にもなります。ところが本調査で普段の食事の孤食状況を聴取したところ、1日のすべての食事を1人で取っている割合が平日で15.6%、休日で14.8%と、食育白書と同じく高い水準にあることがわかりました。
また、ごはん茶碗と汁椀の位置や箸の使い方の調査結果を見ると、大人であっても食育の基礎を習得しているとは言いがたいことがわかりました。これらの食育の基礎的な習慣は、家族らと団らんしながら食事を取る中で育まれていく内容でもあるため、幼少期の食育の有無だけではなく、大人になってからの孤食の習慣が招いた食習慣の乱れの影響もあるのではないかと考えられます。
今後は、孤食の解消方法の検討や大人への基本的な食事マナーの研修など、子どもにとどまらない幅広い世代への食育が重要になってくるでしょう。
※1 「とてもそう思う」と「そう思う」を合算した割合
分析者:田守 綾(公共サービス事業部 ソーシャル事業推進部)
調査結果の詳細
「平日の朝食や昼食を1人で食べる人」が約半数
「平日の朝食や昼食を1人で食べる」人、「平日の夕食、休日の食事を、同居している配偶者・パートナー、交際相手と食べる」人が、それぞれ4割以上と高くなっています。
一方、平日・休日ともに「朝食は食べないことが多い」人も15%程度と、比較的高くなっています。朝食を食べないことは、児童・生徒の食育の課題の一つであり、大人になっても状況が改善していないと考えられます。
【問】 あなたの普段の生活についておうかがいします。あなたは平日(お仕事や学校がある日)、食事をどなたと食べることが多いですか。
「1日のすべての食事を1人で食べる」割合は、平日15.6%
平日・休日の食事について、「3食とも1人で食べる」孤食の割合は、平日が15.6%、休日が14.8%となっています。平日については「2食は1人で食べる」割合も24.2%となっており、合わせると全体の約4割が平日2食以上を1人で食べていることがわかります。これには家族の食事時間のずれや、単身世帯の増加が関係しているものと考えられます。
【問】 あなたの普段の生活についておうかがいします。あなたは平日(お仕事や学校がある日)、食事をどなたと食べることが多いですか。