最新研究結果発表 「花粉症対策にみる『酢酸菌』の可能性」 – 乳酸菌や納豆菌にはできない健康作用機序を確認 –
酢酸菌ライフは、お酢づくりの命である「酢酸菌(さくさんきん)」の健康作用に注目した情報発信を目的に設立し、設立に併せて、2019年11月26日(火)、キユーピーホールにて、「酢酸菌ライフ」メディアセミナー 最新研究結果発表「花粉症対策にみる『酢酸菌』の可能性 -乳酸菌や納豆菌にはできない健康作用機序を確認-」を開催いたしました。
花粉症による「鼻づまり」の不快感が、酢酸菌摂取4週間後に改善したという最新研究結果を紹介する、石原新菜先生。(グラフ出典:上條ら,酢酸菌 (Gluconacetobacter hansenii GK-1)はスギ花粉による鼻の不快感を軽減する-無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験-,2019を一部改編、採択済み論文、2019年12月以降公開予定)。
世界最古の調味料ともいわれるお酢は、食はもちろんのこと、生薬としても人々の健康を支え続けてきました。近年、お酢をつくりだす「酢酸菌」の研究も進み、注目される効果が明らかになってきています。酢酸菌ライフは、専門家の知見や最新研究などを交えながら、酢酸菌の健康価値や日常生活での取り入れ方を広く発信すべく、設立されました。
近年、ヨーグルトや納豆、キムチ、お酢などに代表される発酵食品に注目が集まっています。腸には身体全体で7割もの免疫細胞が集まっており、発酵食品に含まれる乳酸菌や納豆菌といった、いわゆる「身体に良い菌」が腸内環境の改善に役立つと期待されているためです。花粉症をはじめとするアレルギー対策の観点からも、腸内の「免疫バランス」を整えることは重要といえます。
本セミナーでは注目の発酵食品のひとつ、お酢に含まれる「酢酸菌」に関する研究結果を紹介しました。
まず、東京農業大学 応用生物科学部醸造科学科 教授の前橋健二先生が、お酢づくりに不可欠な「酢酸菌」について解説しました。そして、イシハラクリニック 副院長の石原新菜先生が、「酢酸菌」を毎日摂取することによって、花粉症に代表されるアレルギー症状を改善する効果が期待できるという最新研究結果を紹介しました。最後に、管理栄養士の望月理恵子先生に監修いただいた、酢酸菌を含む食品の代表格である、「にごり酢」を使った花粉症対策レシピの試食会が行われました。
■講演:お酢づくりに重要な「酢酸菌」について
前橋健二先生(東京農業大学 応用生物科学部醸造科学科 教授)
世界中の食文化を支えてきたお酢は、日本でも「塩梅」という言葉があるほど、昔から食卓にはなじみ深い調味料です。最近では、お酢が持つ様々な健康効果から、単なる調味料としてではなく、健康食材のひとつとして再注目されています。「酢酸菌」は、アルコールをお酢に発酵させる菌です。腸内環境の改善に役立つことで一般的にもよく知られている、乳酸菌や納豆菌とは異なる微生物学的な特長を持っており、それらの菌とは異なる作用機序で、免疫細胞を活性化させることができます。また、一般的なお酢は、製造過程でろ過の工程を経て出荷されるため、酢酸菌はほとんど含まれていません。最近では、あえて酢酸菌を残した伝統的なお酢である「にごり酢」づくりに挑戦している蔵元もあります。
■講演:花粉症対策~酢酸菌の最新研究結果発表~
石原新菜先生(イシハラクリニック 副院長)
「国民病」とも呼ばれる花粉症。花粉症患者の数は年々増加の傾向をたどっており、東京都では約2人に1人が発症しているといわれています。花粉症は、花粉自体が身体に直接影響を与えるのではなく、免疫システムのエラーにより発症します。花粉飛散量に関わらず、免疫システムを正しく機能させることが大切です。花粉症対策の3原則として、(1)花粉を身体に入れない、(2)体質を改善する、(3)薬で症状を抑え込む、ことが挙げられます。なかでも、体質を改善することは極めて重要なファクターです。腸には、身体全体で7割もの免疫細胞が集まっているといわれており、発酵食品などに含まれる多様な菌を腸などの消化器官に取り込むことを意識した食事方法、“食べる菌体験”は免疫バランスを整える一助となるでしょう。腸内の免疫スイッチ「TLR(トル様受容体)」は、感染症などの病原体の侵入を感知し、免疫を作動させる働きを持っており、主にアレルギーを感知するスイッチには「TLR2」と「TLR4」があります。乳酸菌や納豆菌が「TLR2」の免疫スイッチを押すのに対して、酢酸菌は「TLR2」に加えて「TLR4」も押すことができます。酢酸菌は、2つの免疫スイッチを押すことで免疫バランスを整え、免疫の誤作動や過剰反応を抑制し、花粉症などのアレルギー症状を抑えることができるということが最新の研究で明らかになりました。