炊飯器が壊れたときこそ、美味しいごはんに出会えるチャンス
「炊飯器が壊れちゃってね。お薦めの炊飯器、教えて!」
こういった質問、よく受けます。
しかし…。
残念ながら私はどこかの炊飯器メーカーと繋がっていませんので(笑)、簡単には答えられないのです。
私は電気炊飯器よりも土鍋や羽釜といった直火炊飯が好きです。
電気炊飯器の熱量は家庭用コンセントを上回ることはありません。それよりも直火で、大きな熱量で一気に炊き上げた方が、ごはんの食感と甘みが増すのです。
「直火だと面倒」…。
いやいやいや。火を点けている時間は15分程度。その間は確かに目が離せませんが、キッチンで別の作業を進めていれば「あっ」という間です。
ただもちろん「コンロを1つ塞ぐし」「朝はバタバタなので調理工程を減らしたい」…。そんな皆さんのライフスタイルと合うかどうかも大事なことです。
だから電気炊飯器でも良いと思います。最近の高価格帯の炊飯器であればたいていは美味しく炊けますので…。
ではどういった電気炊飯器を選ぶのか?結局は「炊きあがりが好みかどうか」によります。
個人的には…忖度なしで(笑)、パナソニックの炊飯器が好みです。炊きあがりがパリッと仕上がっていて噛みごたえがあります。噛みごたえがあるということはお米の味を存分に味わえるということです。
そうそう、最近流行っている「品種による炊きわけ機能」。あれは無くても良いですね。せっかく品種ごとの違いを楽しむのであれば、単純に「硬め」「柔らかめ」を自分で調整出来るくらいの方がお米を楽しめます。象印の一部の炊飯器に、細かく硬さや粘りを変更できる機能がついたものがあります。
私が直火炊飯を勧める理由のもう一つが「電気炊飯器だと自分で工夫する余地が無い」ということです。
お米は生鮮食品です。季節や品種や白米の保管状況により、その時々に合わせた炊飯方法があります。
しかし電気炊飯器だと「スイッチポン」で終わってしまうのです。まるでお米が「インスタント食品」のようです。
「美味しさ」を追い求めるときに自分が工夫する余地が無ければ、料理としては面白くないですよね? 出来れば自分の工夫を施すことが出来る…といった視点で炊飯器具を探してみてください。
日本の家電製品は丈夫ですから(笑)。めったに訪れない買い替えのチャンスこそ、皆さんのお米ライフを豊かにするための考察時期でもあるわけです。
1971年、原宿生まれ。1995年、明治大学卒業後、出版社で編集者として勤務。2002年、社会保険労務士の資格を取得し、人事制度コンサルティングファームに入社。2006年、小池精米店を継ぐ。
2013年、五ツ星お米マイスターの資格を取得。テレビやラジオ、新聞、雑誌、ネット等のメディア出演多数。共著「ごはん検定公式テキスト」(実業之日本社)。共著「お米の世界へようこそ!今日からあなたもごはん党
」(経法ビジネス出版)
【ネットショップ】 三代目小池精米店
【連載】米は『研ぐ』ではなく『洗う』です