消費税増税後の食費とキャッシュレス決済の利用状況を調査
4. 飲食店でのキャッシュレス決済、消費税増税前から利用していた人は56.4%
2019年10月の消費税増税と同時に、期間限定で開始された「キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)」の利用状況について調査を行った。飲食店の利用に限定した設問ではあるものの、増税前からキャッシュレス決済を「利用していた」人は56.4%と過半数であった。性年代別では、最多は30代男性で61.7%。次いで60代男性で60.7%、60代女性で59.9%と続く。逆に「利用していなかった」が最も多かったのは20代女性で51.5%。日本におけるキャッシュレス決済の手段として最も普及しているのがクレジットカードであるため、クレジットカードの普及率が低いと言われる若年層でやや少なくなったと考えられる。圏域別では、最も「利用していた」人が多かったのは東海圏で58.7%だった。
■消費税増税前の飲食店でのキャッシュレス決済利用有無(全体/単一回答)
5. 消費税増税後、対象店のキャッシュレス決済&ポイント還元利用経験者はすでに63.8%
消費税増税後に「キャッシュレス・消費者還元事業」対象の飲食店で実際にキャッシュレス決済を行い、ポイントの還元を受けた(今後還元を受ける予定も含む)経験の有無を聞いた。飲食店で「キャッシュレス決済を利用し、ポイント還元を受けた(受ける予定)」の人は63.8%と約3分の2に迫る勢いであった。このうち増税前に飲食店でのキャッシュレス決済を利用していなかったものの、今回「ポイント還元を受けた(受ける予定)」人が10.9%。性年代別では、男女とも全年代の中で30代の経験率が高く、30代男性では68.2%、30代女性では64.7%であった。また、同じ年代で男女を比較すると、どの年代でも男性の方が女性よりも経験率が高かった。圏域別では、前ページで増税前のキャッシュレス利用率が高かった東海圏が66.4%と、3圏域の中で最もポイント還元(今後還元を受ける予定も含む)の経験率が高かった。
■消費税増税後飲食店でのキャッシュレス決済とポイント還元経験の有無(全体/単一回答)
6. 「キャッシュレス・消費者還元事業」を機に「キャッシュレス派」が約2割増加か?
下図は、増税前の飲食店でのキャッシュレス決済の利用状況と、今後の飲食店でのキャッシュレス決済の利用意向を組み合わせて集計したもの。増税前に飲食店でキャッシュレス決済を利用していた人は56.4%だったが、今後飲食店でキャッシュレス決済を「利用するつもり」と答えた「キャッシュレス派」は75.6%であった。今回の制度の影響等で「キャッシュレス派」は約2割増える可能性がありそうだ。
■消費税増税前の飲食店でのキャッシュレス決済利用状況と今後の利用意向(全体/単一回答)
7. キャッシュレス決済利用+ポイント還元の理由・感想、最多は「支払いが早く済む」
今回の「キャッシュレス・消費者還元事業」の利用経験者に、制度を利用した理由や利用の感想を聞いた。全体で最多だった選択肢は「支払いが早く済む」で52.1%。他を引き離してトップとなっており、キャッシュレスのメリットを「時短」と捉えている人が多いようだ。2番目に多かった選択肢は「増税に対する心理的な負担が軽減される」で29.7%。「現金で支払うことが損をしている気持ちになる」(26.2%)、「ポイント還元された金額がわからない」(23.4%)、「ポイント還元があるお店が少ない」(23.0%)などの選択肢も一定の人に選ばれた。性年代別には、「財布(お金)を持たなくてよい」が20代男女や50・60代男性で選ぶ人が多かったが、40~60代女性では逆に少なかった。また、20・30代女性は「キャッシュレス決済を使いすぎてしまう、どの程度使ったのかわからない」という回答が他の性年代より多かった。
■消費税増税以降、飲食店での外食で、キャッシュレス決済でポイント還元を利用した理由や利用した感想(利用経験者/複数回答)