知っているようで知らないお米にまつわる話、お披露目します

お米を洗う

皆さん、はじめまして。
私、東京の原宿で米屋を営んでおります、小池精米店・三代目、お米マイスター五ツ星の小池理雄(ただお)と申します。
今回、ご縁がありましてこちらに投稿させて頂くことになりました。「業界にどっぷり浸かった専門家の見識」ではなく、「町の米屋として消費者目線に立った『お米の魅力』」を「楽しく」お伝えしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
小池精米店の立地や、私のおに対する主義主張、私自身の経歴と今の仕事等々につきましては、この連載を通して追い追いお伝え出来ればと思いますが、今日はこの連載コラムタイトルから。

私は普通の米屋ですが、普段の業務…精米や仕入れ、配達…以外にも「人前で話す」ことも頻繁に行っています。それが自分で主催するイベントもあれば他人から要望があって参加するイベントもありますし、各地での講演に呼ばれることもあります。
その中で一般消費者向けのイベントがあります。その際に多く受ける質問の一つは「お米を美味しく炊くにはどうすれば良いのでしょうか」というものです。
その答えのうちの一つとして話すのがタイトルの「お米は『研ぐ』ではなく『洗う』です」なのです。
この話…イベントのたびにお話ししますが、毎回毎回「へー、そうなんだ」と驚かれる「キラーワード」?でもあります。話す方としては毎回同じネタでも通じるので楽ではありますが、しかしいまだに「お米の常識」が広まっていないというもどかしさもあります。

お米のイベント

読者の方にとっては常識だと思いますが…いま、お米は昔のようにゴシゴシと研ぎません。優しく洗うのです。具体的にはソフトボールを持つくらいの大きさに手を広げ、その状態で水に浸したお米に手を突っ込みぐるぐるとかき回すような感じです。
では、なぜそのようにするのでしょうか?その理由は大きく二つあります。

一つにはそうすることによりお米が割れるのを避けることが出来ます。割れたお米粒を炊飯すると断面からでんぷんが溶け出しそれがごはんのベチャ付きの原因になり食感を損なうのです。
二つ目はお米の味を損ないません。白米の部分と層の間には「亜糊粉層(あこふんそう)」という部分があり、この個所には旨み成分が多く含まれています。精米をする私たち米屋はこの層をなるべく残すように精米しますが、お米を研ぐことによりこの層まで流してしまうのです(この辺りのお話しは別途「ごはんの美味しさ」について触れたときに詳細をお知らせします)。

いかがでしたでしょうか?「お米を洗う」まではご存知であってもその理由まではあまりご存知でなかったかもしれません。
「お米って何ですか?」という人はいません。しかしタイトルのような「お米にまつわる話」になると実は「え、そうなの?」となる方が圧倒的に多いのです。知っているようで知らない「お米にまつわる話」のうち、皆さんに是非知って頂きたい話をこの連載でお披露目したいと思っています。

ライター:小池 理雄